部屋には音楽をかけて。

ベッドの軋む音は極力小さくして。

二人で布団にくるまって、二人にしか聞こえないように吐息も我慢して。

グチュグチュと聞こえる音は、二人にしか聞こえてなかったら、それで大丈夫。

だけど。

だけど。

「あっ・・・あぁぁ!、あっく、もう無理だ・・・・!!!!」

限界を訴えるサスケに、次の声が漏れないようその濡れそぼった唇をそっと自分の右手で覆った。
うっすらと開かれたその瞳には、涙がたくさんたまってる。

「うぅっ・・・ふっ んんん・・・!」

サスケの喘ぎ声は、俺の右掌にのって、なんとか大きい声にならずにすんでいた。

そのまま腰を動かし続けると、ますますくぐもった声が俺の右掌に吸収されていく。

パシリ、と右手に衝撃を感じれば、さっきまで俺の両肩に置かれていたサスケの両手が、俺の右手を掴んでいた。
サスケの顔を見つめると、先ほどの涙が幾筋も作り、その状態でかぶりを振っている。
その意味を察した俺は、腰を動かすのをやめて、サスケの口から手を離した。
サスケの唾液がダラリと俺の掌とサスケの唇の間に銀の橋を作り出している。

ベッドの近くにある机の上に載ってあったハンカチを掴んで、クシャリと小さく丸めた。

「ごめんな・・・。」

俺が本当に申し訳ないように問いかけると、
「なんでアンタが謝るんだよ・・・。」
と、俺に負けず劣らずの申し訳なさそうな声をサスケは絞り出した。

どちらとともなく唇を軽く寄せ合い、離した後にサスケは大きく口を開く。

俺はその大きく開かれた口に先ほど小さく丸めたハンカチをゆっくりと中にいれた。

きつく抱き合って、また腰を動かしだす。

それでも、ベッドの軋む音には気をつけて。

サスケの喘ぎ声はハンカチに吸収されて、そのまま溶けていった。


voice・and・voice 禁欲編



情事後のけだるい時間が部屋をとりまいていた。

俺は流れていた音楽をとめるためにCDコンポの停止ボタンを押す。
軽くため息をついて、後ろを向けば、サスケが自分の顔の5倍以上はありそうな大きな枕に顔をうずめていた。

「疲れた?」

優しくそう尋ねれば、

「少しな・・・。」

と、くぐもった声が聞こえる。

サスケと恋人という関係になって、幾分も過ぎたころ。

そろそろ体を重ねようか、という所までいって、俺は初恋のような興奮を覚えていた。

26歳の男が、だ。別にセックスが初めてなわけでもなく。(そもそもこの年で童貞はかなりやばいだろう。)

それくらい、サスケとの初めてのセックスは意味があるものだった。

順風満タン、ラブラブラブラブ、ラブラブも良い所ですよ、といった俺たちだったのだが。

いざ、セックスをしようとした時に、ある問題に気がついたのだった。



・・・サスケは声が大きかった・・・。



加えて、俺の住んでいるアパートはちと古かった。

とりあえずセックスする前に

「このアパートは古いからあんまり物音立てれないんだよね。」

とは言っておいたんだけど。

その時のサスケは、

「みりゃわかる。」

なんて、普通に答えてたんだけど。(いや、顔は真っ赤で可愛かったけどv)

「ベッドの軋む音も聞こえちゃうかもしれないから、あまり音立てないようにしないとな。な〜んちゃって!」

なんて、致す前はかる〜く言っていたのだけども。(その時は流石にするどい蹴りをくらったけども。)

いざ、致したときに・・・、サスケの声の大きさにお互いに驚いて、途中で行為をやめてしまった。

まさか普段すかしてるサスケがあんなに大きな声をだすなんて思いもしなくて、本当に驚いた。


それでもやっぱり体は重ねたいわけだから、俺たちなりに声が漏れないように気をつけながらもセックスをしている。
(初めてした時はそりゃもう大変だった。サスケ号泣してたし。)

ベッドの布団の中に二人そろって頭までもぐって、誤魔化しきくかもしれないとCDをかけて・・・。

サスケも限界まで声を我慢してくれているのだが、それでも途中からは我慢できずに出してしまう。

だから、口の中にハンカチを入れたり、口をハンカチで覆ったりしてるんだけど・・・。

お互い終わったあとは、(ていうかサスケが)ものすごい疲労に襲われるのだ。

俺の家がだめならサスケの家ですれば良いのだけども、それにも問題があった。

サスケは五年前のあの出来事があってからも変わらずうちは邸に住み続けていた。
一度、オレの家が駄目ならサスケの家ですればよいじゃないか、と明るくサスケに言ったのだがサスケは断固拒否してきた。
サスケ曰く、「父さんや母さんに見られてる気がする。」だそうだ。

お前ってば、なんでこういう時だけ子供らしくなっちゃうの?とは、さすがの俺もいえなかった。

と、いうのも俺も本当にそんな気がするからだ。

一度ふざけてサスケの部屋でサスケにキスをしてみたら、サスケの部屋にかけてあった掛け軸が凄い音を立てて床へ落ちた。

あれはもしかしたらサスケのお父さんの仕業なんじゃないかと、俺はこっそり思ってる。

そんなこんなで、サスケの家では一度も致した事がなく、行為はオレのぼろっちいアパートでしかした事がなかった。
ちなみに、木の葉の隠れ里にはそういういかがわしいホテルなんてものはない。
だって隠れ里だしね。火の国にはあるみたいだけども。
いつ緊急招集がかからないこんな職業をしているせいで、わざわざ火の国のそういう所まで行くわけにもいかないのだ。
何しろ時間が無い。

オレとしては、そりゃもうサスケの事大好きだから。
毎日だって行為をしたいけど、サスケの事を考えるとそんなこととてもじゃないけどできない。
普通にセックスするだけでも多分だいぶ疲れるでしょ?挿入される方って。
サスケの場合はそれに加え、歯食いしばって頑張って声出さないようにしてるわけだからさらに疲れてると思うんだよね。


「声、すごかったか。」


物思いにふけっていたオレを呼び覚ましたのは、サスケの心配そうな声だった。
つられてサスケの顔を見ると、声の通りに顔にも心配そうな色が滲み出ていた。
サスケを安心させようと、にっこりと笑って返事を返す。

「大丈夫、俺にしか聞こえてないよ。」

「・・・うすらばか。」

サスケを胸に抱くと、火照っていた体から熱が引いて、すこし冷たくなっていた。

「明日も早いぞ〜。風邪引かないように早く寝ような。」
掛け布団をオレとサスケの肩にまで持っていって、耳元で呟いたら、サスケの耳が赤くなったのが見えた。

愛いやつめ・・・。

心の中身を、愛しさで一杯にして、なんとか今日のセックスも無事終わりをつげた事に胸を撫で下ろす。
まぁ、本当は声はちょっと出てたんだけど。多分・・聞こえてはないだろ。・・・きっと。

次はいつできるのかなぁ?と、せっかくサスケへの愛しさで一杯だった心に不安を与えつつも、オレは眠りについた。



********************:




「えっ、任務ですか?」

「あぁ。悪いんだがな。お前たちしか都合のつく班がないんだ。」

本日の「子供たちが遊ぶ公園のゴミ拾いと草むしり」という、おおよそ下忍らしい任務を無事完了したあと、報告書を提出しにいった俺は明日の新たな任務を申し付けられた。

戦争の時代が終わりを告げたとき、木の葉の里の忍の決まりごとはかなり改変された。

例えば、里がよっぽどの危機的状況にない限り、アカデミーを卒業して間もない下忍は必ず一週間に一度は休みをもらうこと、などだ。
ま、もちろん、一週間以上かかる長期任務の時はその掟は関係ないのだが。
それでも、アカデミーを卒業したばかりの下忍が一週間以上も縛られる任務をさせられる事自体あまりない。
(波の国の任務は下忍レベルの任務じゃなかったしね。)
明日はその掟によって設けられた、待望の下忍第7班のお休みの日・・・の、はずだったのだが。

「任務は何です?」

「火の国の大名からの依頼でな。蔵の掃除だそうだ。」

なるほど、火の国の大名か。それは断れるはずがない。
どうやら今日いきなり入ってきたらしく、他の下忍の班にはもう任務が入っているらしい。
まさか、蔵の掃除だなんて簡単な任務を中忍レベルの班にやらせるわけにもいかない。

「でも・・・あいつら・・・・、特にナルトとサクラが煩いと思うんですけどね〜。言うの嫌だなぁ。」
ポリポリと右ほほをかきながら面倒くさそうに俺は綱手様に伝えた。
明日が任務なら、明後日が休み、という訳にもいかないのだ。
確か、7班の任務は四日後まで何をするのか決められていたはずだ。

「誰も休みをなしにするとは言ってないだろう!来週、お前達7班には2日連続の休みを与える。これで文句はないだろう?」

いきなり入ってきた大名からのどうでも良い依頼のせいで予定が狂った事が腹立たしいらしく、綱手様の言葉にはとげとげしさがあった。

「はぁ・・・。ま、休みって言ってもオレには関係ないですけどね。」

第7班の引率教師という立場の俺だが、『上忍』という肩書きがある以上、たとえ7班として休みをもらっていてもいきなり任務が入る事もしばしばあった。2日間休みをもらったとしても、恐らく1日は、最悪2日間とも任務の入ってくる可能性が大変高いわけだ。
それを暗黙に綱手さまに愚痴ったわけなのだが、何分タイミングが悪かったようだ。

「・・・なんだ、うるさいやつだ!!ふん、解った。たとえ何があってもお前を呼び出したりはしないぞ!」

バキィ!!

すさまじい音にそりゃもう驚いたのだが、(綱手さまが振り下ろしたコブシがテーブルを真っ二つに割っていた。)
それよりも俺は綱手さまの口から飛び出した爆弾発言の方に、もっと驚いた!

「休み!?二日間も!?絶対絶対呼び出さないんですね!?」

俺は吐息も鼻息も荒く綱手さまに詰め寄った。

なんだよ通気性抜群の覆面のくせに、息しずらいじゃないかくそっ!

「あぁ!!!絶対に呼び出さん!」

こちらも俺に勝るとも劣らず感じの鼻息の荒さで返答してくれた。
おいおいちょっとせっかく若作りしてるってのにそんな顔してたら意味ないですって。

って、ま!そんなことはおいといて。

・・・俺は歓喜に打ち震えた。
今、間違いなく綱手さまは『俺を呼び出さない。』と言った。

今まで丸一日ゆっくり休めた事なんて、もうどのくらい前なのか思い出せないくらい超多忙な生活を送っているこの俺を!
呼び出さないと!

それも二日もだ!

「その言葉、絶対忘れないでくださいね・・・!」

俺はそう捨て台詞を残し、疾風のごとく綱手さまの前から姿を消したのだった。



******************

登るたびにキシキシと音がなる階段を、俺は軽い足取りで登っていた。
自分の家に着くと、ドアを開ける前から良い匂いがしてきている。
ん、この匂いはナスの味噌汁の匂いだ!
ドアを開ける前に、もひとつサスケへの想いを増やして、俺はドアノブを回した。

「さぁ〜すけ〜。ただいま!」

言葉を発したと同時に、俺は台所に立っていたサスケを後ろから抱きしめた。

「あぁ・・・。おかえり。」

俺に強く抱きしめられたことなんかまったく気にせずに、サスケは淡々と晩御飯を作っている。

こんなに強く抱きしめているのに平然と高速の千切りをできるあたりがなんとも面白い。

毎日毎日帰ってくるたびに同じ行為をする俺に、最初こそは真っ赤になって怒りくるっていたが、最近ではこんな反応だ。

でも、本当は目の辺りが少し赤くなっていること、俺は知っている。

「サスケ。悪い話と良い話があるぞ。」

「・・・なんだ。」

さすがに「悪い話と良い話」の煽り文句には惹かれたようで、サスケは高速千切りを繰り出していた包丁を止め、チラリと俺の方をみつめてきた。

「まず悪い話。明日、7班に任務が入った。」

「・・・なんだそんなことか。」

阿呆らしい、そういう目を一瞬したあと、サスケはまた高速千切りをはじめた。
俺、いつも気になるんだけど、なんでそんなに早く包丁動かして手切れないの?

「ま!これは別にどうでも良いんだけどね!ナルトとサクラは煩かったけど!」

「だろうな。」

ナルトは、明日イルカ先生と休みがちょうど重なったとかで木の葉の里のラーメン屋巡りをするんだと、嬉しそうに今日の任務の時にサクラに喋っていた。サクラもサクラで、明日はお母さんと新しい服を買いに行くの!って嬉しそうにサスケに一所懸命語りかけていたのだ。

「も〜あの二人はなだめるの大変だったよ。でも、来週二連休くれるって話したらすっごく喜んでたけど。」

「・・・それが良い話か?」

今度は高速みじん切りを始めたサスケが、興味なさげに呟いた。
サスケにとっては、たとえ何日間休みがあろうとなかろうとずっと修行しているから対して変わらないのだ、任務がある日も休みの日も。
いや、むしろ休日ほど疲れているような気がする。

「ん、半分当たってて、半分はずれてるかな!」

俺は目に入ったサスケの旋毛にそっとキスをした。
一瞬ピクリと止まったが、すぐにまた包丁を動かしている姿が健気でなんか可愛かった。

「じゃぁなんだ。」

「ん、俺にもね〜来週2連休くれるんだって!絶対呼び出さないってさ。」

語尾にハートをつける気持ちで俺はサスケにささやいた。おまけに今度は白いほっぺたに音をたててキスをする。
サスケが驚いたような顔をこちらに向けた。


「・・・・まじで?」

「・・・まぢで。」

「・・・嘘だろ。」

「本当だ。」

「・・・・そ、そうか・・・。」


そう言ってサスケは正面を向いた・・・が、なんだか固まっていて中々包丁を動かそうとしない。
ちなみに無表情を装っているようだが、少し嬉しそうな顔をしているのを、サスケマニアの俺が気づかないわけがない。

そんなサスケを見ていると、俺も顔がニンマリニンマリしてしまう。

「ま、それでだサスケ。俺とお前の休日が、二日間も合うなんて事、多分この先ほとんど皆無に等しいと思うわけよ。」

「お、おう。」

コクコクと、縦に揺らすその頬を軽く染めて、またサスケは俺の方に体ごと向いた。
目が少し期待に濡れている。

「ん・・・、旅行、行かない?」

「え"っ。りょ、旅行!本気か!」

「ん!本気と書いてまぢと読むよ!」

いつもなら「何言ってんだあんた。」とつっこみが入る所だが、今回ばかりは入らなかった。

サスケは顔を赤くしたままで、ヒクヒクと口元を揺らしている。

本当は嬉しくて仕方が無いくせに、素直に笑えないサスケのちょっと困った、可愛い癖だ。

「嬉しいときは笑いなさいよ〜。」

膝を折って、サスケとより近い体制になるようにしてから、俺はサスケの頬をツンツンつついた。

「・・・うすらとんかち!」

「おっ、いつもの反応に戻った」、と微笑ましく思ったのもつかの間、サスケの右こぶしが俺の眼前に繰り出された。
が、これでも上忍。サスケの右こぶしをよけて、バランスを崩したサスケを両手で受け止めてやる。
そのまま、びっくりして唇を半開きにさせてしまっているサスケを膝に座らせて、そのまま口付けた。

「ぬぐっ・・・」

ちゅっと軽く音を立てれば、サスケの体が一瞬にして真っ赤になるのを俺は目の端で捕らえた。

最初は浅く、ただ唇を合わせていただけだが、段々と深くしてやりサスケの吐息を乱れさせる。

「カ、カカシ・・・!」

俺の頬と唇に手をあて、思いっきり俺の顔を離したサスケは、ギュッと目を瞑った状態で声を震わせている。

「ちょっと我慢。声、がんばって。」

「んっ・・・んん・・・ふぅうっ・・・。」

角度を変えて何度も何度も。

逃げるサスケの舌を追いかけて絡ませれば、サスケの体が大きく揺れる。

かわいい。

唇を離してもまた何度も何度も口付ける。
逃げる舌を追うのはやめて口腔内を万遍なく嘗め回してやれば、構ってもらえなくなった事に寂しさを感じたのだろうか、サスケの舌が自ら絡んできた。

軽く唇を離す時に見えた、唾液でできる橋は、もう一度俺とサスケの唇の中にうもれてしまう。
ちゅくちゅく聞こえる音が、俺の体温も上げてくれた。
俺の肩に置かれたサスケの手が、痛いほどきつく爪を立ててくる。
爪が立てられば、立てらえるほど、サスケがキスに一生懸命なことが感じ取れた。

「あっ・・・んぐっ。」

まだまだしてたかったんだけど・・・。

突如耳に届いた、鍋の沸騰水が吹きだす音に、そんな雰囲気ではなくなってしまった。
ちゃんと唇を離せば、サスケの目に涙がたくさん溜まっていた。瞬きすれば、きっとボロボロと落ちてしまう事だろう。
サスケをそっと床に置いてから起き上がってコンロの火を消してやる。

「い、いきなり・・・こんな・・・な、なんだよ・・・!」

サスケは心底疑問に思っているようで、声を枯らしながらも俺にそう尋ねてきた。
軽いキスはいつだってしたことあるが、ディープキスは、セックスする時じゃないと俺たちはしなかった。

俺はそんなサスケの疑問に解決させるべく、綱手さまに連休をもらった直後から考えていたプランを、サスケの前に正座してから言う。

「あのさ、旅行ってつまりお泊りでしょ?恋人同士がお泊りって言ったら、夜すること・・・わかるしょ?」

瞬間サスケが噴火した。(ように見えた。)

「な、なななななななな何言って・・・!!!!!」

「サスケ、いつもつらいでしょ?だから、お泊り行って、何も気にする事無くえっちしたいな・・・、って・・・・。ね!!!」

「そ、その事だけにわざわざ旅行行くのか!」

うん、そのとーり!とは、いくらなんでも言えまい。
サスケは、えっちする事だけにどこかに泊まるのは絶対嫌な子なんだ。
(だからラブホも行けないんだよ。いや、行かない理由はそれだけじゃないけど。)

「んなわけないだろ〜?もちろん、サスケと色々観光巡りするためだよ〜。でも、夜せっかくいつもと違う所に泊まるんだからな。な?」

「・・・・・・・・・・っ。で、それと今のが何の関係がある。」

「ん〜・・・だから。な?一週間後に思いっきりえっちできるなら、これから禁欲しようかと。」

「禁欲?」

「えっちとかキスとか色々がまんするって事。」

「えっ?」

サスケの切れ長の瞳が、大きく見開いた。その瞳の奥に、俺が映っているのが見えて、何故だが気恥ずかしい気分に陥ってしまう。

あ、やばい、俺いま顔赤い。

「だから、今のキッスを最後に、禁欲しようかと思って・・・。」

それであんなに激しいキスをしたのよ〜。

と、伝えれば、サスケは少し目を伏せて、何かを考えているようだった。

もしかして、ここに来て「やっぱり旅行は行かない。」とでも言われてしまうのだろうか。

ドキドキドキドキしていたら、コンロにかけていたもう1つの鍋が吹き零れたようで、水分が蒸発する音とカタカタ鍋の蓋が揺れると音が聞こえた。

俺が立とうとしたその瞬間、左手の袖あたりがツンツンと引っ張られる感触がして、サスケを見えると、潤んだ瞳で唇を差し出してきている。

「最後にもう一回が良い・・・。」

もう、この言葉にはノックアウトだ。

この言葉の奥は深い。

まず、サスケも「最後」って言うことは、俺と一緒に禁欲してくれる=一緒に旅行に行ってくれる=つーか激しいえっちしてくれる!
と、いうことであって、おまけに「もう一回」って言うことは、サスケはあのキスだけじゃものたりなかったって事だ!

なんだよ、サスケ、お前も俺のこと好きなんだ。

差し出された桃色の唇に自らのそれを合わせながら、一週間後の旅行に想いを馳せた。




あ、もう、吹き零れ続けている鍋のことなんてど〜でもい〜いや!



next



少女漫画ですみません。
場面展開多くてすみません。
展開速くてすみません。
前置き長くてすみません。
次で終わるかなぁ?次はオールエッチの予定です・・・。

2007/10/01
小鳥由加子